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企業むすび コラム

大企業とスタートアップのスピード差承認と検証の日程を合わせる方法

企業間の日程を調整する:検証と承認の二つの日程を整理

大企業とスタートアップのスピード差は、作業を進める日程と、相手が承認する日程を別に把握し、判断が必要な日から準備を逆算することで調整できます。「もっと早くお願いします」とだけ伝えても、相手が何をいつ確認すればよいかは分かりません。

自社ではすぐに試せる変更でも、大企業では予算、利用する現場、契約や社内手続きへの確認が必要な場合があります。一方、すでに合意した範囲で進められる小さな確認まで、すべて同じ承認待ちにする必要があるかは、相手と整理できます。

大企業の動きを一律に遅いと決めつけず、誰の判断を待っているかを具体化しましょう。ここでは、自社の工数管理より、双方の判断と実行の予定を合わせるための日程表を扱います。

目次
  1. 「遅い」と感じたら、何の判断を待っているかを聞く
  2. 検証の周期と、承認の周期を別に描く
  3. 承認する日から、必要な資料と確認を逆算する
  4. 小さな変更も、すべて同じ承認へ回す必要があるかを確認する
  5. 返答待ちには、自社が待てる条件を添える
  6. 次の打ち合わせでは、二つの日程を一緒に更新する

「遅い」と感じたら、何の判断を待っているかを聞く

返事が遅れているときは、窓口担当者の回答だけが待たれているとは限りません。その人が別部門や責任者の確認を待っていることもあります。

相手には、「いつお返事いただけますか」に加えて、次のように聞けます。

  • 現在は、どの内容について、どなたの確認を待っていますか。
  • 判断するために、当社から追加で示す情報はありますか。
  • 次に確認できる会議や手続きは、いつ予定されていますか。
  • その前に、担当者同士で整理できることはありますか。

必要な資料が不足している場合と、会議の日程を待っている場合では、できることが違います。自社で用意できる仕事まで待ち状態にせず、先に準備するものを分けましょう。

検証の周期と、承認の周期を別に描く

自社が試して学ぶペースと、大企業が予算や条件を決めるペースは、同じとは限りません。二つを一つの予定表に無理にまとめず、つながる場所を決めます。

例えば、住宅向けの省エネサービスを、スタートアップと住宅関連の大企業が検討する場合を考えます。編集部作成の架空のモデルで、実際の協業事例や承認に必要な標準期間ではありません。

顧客の利用場面を聞き取る準備は進められても、実際の顧客への案内や試行環境の利用には、相手の部署が確認する条件があるかもしれません。どこまで事前に準備でき、何を承認後に始めるかを分けます。

実行日程と承認日程の確認
日程の種類 決めたいこと 自社から用意するもの
担当者同士の確認 調べたい顧客・用途、質問、対象範囲 検証の問い、進め方の案、未決事項
社内の判断 現場の利用、予算、社内手続き 目的、必要な協力、費用と期間、判断してほしい点
実際の検証 合意した対象での聞き取りや試行 実施手順、担当者、記録する内容
結果を受けた判断 次の検証、範囲の変更、導入の検討 分かったこと、残った問い、次の選択肢

表の順番を必ず一度だけ通るわけではありません。確認を繰り返す場合も、どの判断が済んだかを共有し、すでに決まったことを毎回ゼロから説明しないようにします。

IPAのアジャイル開発の公式案内は、発注者側が必要な情報や意思決定を適時に提供する役割を示しています。ソフトウェア開発の仕組みですが、自社の作業と相手の判断を合わせて計画する参考になります。情報システム・モデル取引・契約書(アジャイル開発版)

この説明から、すべての大企業が同じ周期で承認すると判断することはできません。今回の相手の会議・権限・手続きに合わせて確認します。

承認する日から、必要な資料と確認を逆算する

日程を合わせるには、会議の開催日より、資料を渡す締切を先に知る必要があります。担当者が社内へ説明し、事前確認を受ける時間も含めます。

前述のモデルで、大企業が顧客向け試行の実施を判断する会議があるとします。スタートアップが会議当日に説明資料を渡すのでは、相手が事前に確認する仕事を行えません。

日程表には、作業の期限と、その前に何が必要かを並べます。以下は説明用の記入例で、日数を一律に決めるひな形ではありません。

判断日から逆算する日程の記入例
判断・実行の予定 その前に終えること 確認する担当
顧客向け試行の実施を判断 目的、対象、費用、顧客への案内方法を整理 大企業の事業担当と判断者
会議資料を社内へ提出 双方の担当者が提案内容と未決事項を確認 双方の事業担当
試行を開始 対象の確保、必要な手続き、実施担当の予定を確認 大企業の現場窓口と自社担当
結果から次の活動を判断 記録を整理し、残る問いと選択肢を提示 双方の事業担当と判断者

各行には実際の日付を入れ、前の仕事が遅れたとき、どの予定が動くかを確認してください。承認の会議に間に合わない場合も、次の機会まで何ができるかを考えられます。

「今月中に始めたい」と希望を伝えるだけでなく、自社が先に用意する仕事と、相手に確認してほしい日をセットで示すことが要点です。

判断の会議がまだ決まっていないなら、実施日を確定した日程として外部へ約束しないでください。社内では「希望する開始日」と「相手の確認が必要な日」を分けて管理します。

営業や開発の担当者にも、どの予定が確定し、どこが未承認かを共有します。相手の確認前に担当者や外部業者を手配する必要がある場合は、自社が負担する費用と、予定変更の条件を経営者が確認しましょう。

小さな変更も、すべて同じ承認へ回す必要があるかを確認する

速く進めるために社内手続きを省くのではなく、合意済みの範囲で担当者が決められることを確認します。どの変更から上位の判断や追加発注が必要かを分けます。

例えば、合意した顧客への聞き取りで質問の表現を直すことと、新しい顧客群へ対象を広げることは異なります。前者を担当者同士で調整できるか、後者には別の確認が必要かを聞きます。

変更の相談では、次の順に整理できます。

  • 目的は変わるか。
  • 対象・提供するもの・利用する情報は変わるか。
  • 工数・費用・日程へ影響するか。
  • 誰が判断でき、どの手続きが必要か。

担当者の裁量は、スタートアップ側が推測で決めないでください。社内承認や契約に関わる変更は、権限と手続きを相手に確認します。

返答待ちには、自社が待てる条件を添える

返答の予定が定まらない場合は、自社の担当者をいつまで確保できるかを確認します。期限だけを強く迫るより、予定が変わったときの影響を説明しましょう。

例えば、「自社の担当者の次の予定があるため、この日までに開始の見通しを確認したい。難しい場合は、試行の着手時期を改めて調整したい」と伝えられます。未承認のまま始める選択を相手へ求める必要はありません。

大企業の社内事情で予定が延びる場合も、その間に自社が行う準備と、追加の作業を分けます。相手の検討を待つためだけに、別用途の試作や資料作成を無制限に増やさないようにしてください。

イノベーション総研は、スピード差を意欲の差とすぐに解釈せず、必要な判断と実行の予定を明らかにすることを勧めます。その予定に合わせられない場合は、範囲や開始時期を変える判断ができます。

次の打ち合わせでは、二つの日程を一緒に更新する

打ち合わせでは、検証の進捗だけでなく、相手の次の判断がいつ行われるかも確認します。検証が進んでも、結果を判断する予定が消えていれば、次の活動へ移れません。

相手の会議を増やすことだけを求めず、今ある判断の機会に何を持ち込めるかも検討します。事前に担当者同士で選択肢を整理できれば、その会議で決めてほしいことを絞れます。

自社の都合だけで頻繁な承認を求めると、相手の調整の仕事が増える場合があります。まとめて判断したい事項と、次の作業に直結するため早く確認したい事項を区分し、相手へ理由を伝えてください。

予定が変わったときは、理由、動く仕事、自社と相手の対応、次の確認日を記録します。どちらかの担当者だけが新しい予定を持つ状態を避けましょう。

次回は、自社の作業予定に、相手の判断日と資料の締切を重ねてみてください。導入のために判断する人を確認する方法は、公開コラムの本契約へ進むための条件整理も参考になります。