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企業むすび コラム

大企業の検討期間を見積もる予算・購買・契約の確認方法

大企業の検討期間を読む:予算・購買・契約の工程を合わせる

大企業の検討期間は、一律の月数ではなく、発注までに残る仕事と、その順序から見積もります。利用範囲、予算の承認、契約、購買手続きのうち、何が終わっており、誰が次を確認するかを聞いてください。

「来月には進みそうです」と言われても、それが社内会議の日なのか、発注できる時期なのかで、自社の準備は変わります。相手の希望時期を、そのまま受注や入金の予定として扱わないことが大切です。

創業間もないベンチャーが、商談の見通しと開発・営業人員の使い方を判断するために、工程の確認方法と計画表を紹介します。相手を急がせる前に、何の確認を待っているかを分けましょう。

目次
  1. 最初に、いつまでに何を決める予定かを聞く
  2. 残る工程を、担当者と前提条件で整理する
  3. 並行できる仕事と、順番を待つ仕事を分ける
  4. 記入例:希望開始日と、確認する日を分ける
  5. 遅れが出たら、次の回答予定と自社の準備を合わせる
  6. 検討期間の見通しを、売上と人員の予定へ反映する
  7. 過去の商談期間を使うなら、条件を比べる

最初に、いつまでに何を決める予定かを聞く

日程を見積もる前に、今回の検討で何を決めるかを確かめます。会社紹介の後に用途を探している段階と、使う部署が購入条件を詰めている段階では、残る仕事が異なります。

最初の問いは、「利用を開始するまでに、どの確認が必要ですか」です。窓口がすべて把握していなくても、分かる人へ確認してもらう範囲を決められます。

KDDIが公開した住友不動産とSales Markerの対談レポートには、事業責任者との接点を早い段階でつくる取り組みが紹介されています。日程の見通しを立てる際も、必要な判断を担う人へ話が届いているかを確認することが参考になります。KDDI「スピード感ある事業連携を実現するには」

ただし、役職の高い人に会えたことと、発注に必要な確認が完了したことは別です。担当者の発言から、まだ必要な仕事を一つずつ把握します。

残る工程を、担当者と前提条件で整理する

「社内で検討中」を一つの状態として置かず、どの仕事を進めているかを分けます。次の表は企業むすび編集部のモデルで、実際に必要な工程は相手の会社と取引に合わせて確認します。

発注までに残る工程と前提条件
工程 確認すること 次へ進むための前提
利用範囲を決める 誰が、どの機能や業務を使うか 見積もりの対象を説明できる
利用条件を確かめる データ、接続、現場の運用に必要な確認 今の提供範囲で開始できるか分かる
予算を検討する 支出する部署、承認に必要な資料、会議予定 費用と依頼範囲を判断できる
契約を確認する 契約案、確認担当、未合意の条件 双方の条件を合わせられる
購買手続きを進める 取引先登録、発注書、必要な提出物 相手が発注の手続きを行える
利用開始を準備する 設定、担当者、開始に必要な情報 自社と相手の準備がそろう

工程ごとに、誰が担当するか、何の情報が足りないかを記録します。契約の確認を待っているのに、製品の説明資料を増やしても、その待ち時間を解消できるとは限りません。

購買や予算の手続きも、すべての企業で同じ順序ではありません。部署名や会議の頻度を推測で埋めるより、今回の担当者へ必要な確認を聞くことが先です。

並行できる仕事と、順番を待つ仕事を分ける

各工程の期間を足すだけでは、発注までの見通しをつかめない場合があります。並行して確認できる仕事と、前の結果が必要な仕事を分けてください。

たとえば、利用範囲が決まれば見積もりを用意でき、その見積もりで予算の検討に入れる、という順序があります。一方、必要な契約案の確認や、取引先登録の資料準備を、予算検討と並行できる会社もあります。

資料の準備と、個別の作業への着手は分けます。個別設定や開発を先行する場合は、範囲・費用・日程を双方で合意してから着手してください。

相手には、次のように尋ねられます。

予算の検討と並行して、契約案や取引先登録の確認を始めることはできますか。難しい場合は、どの確認が終わると次の手続きへ進めるかを教えていただけますでしょうか。

これは工程を合わせるための文例です。自社の都合で相手の手続きを省く依頼ではなく、先に用意できるものを確認する目的で使います。

前の工程が遅れたときは、その先の日程への影響も見ます。利用する範囲が決まらず見積もりを確定できないなら、予算の検討に間に合うかを改めて確認する必要があります。

記入例:希望開始日と、確認する日を分ける

問い合わせを分類するサービスを大企業の一部署へ導入する架空例で考えます。以下の日付は計画の記入方法を示すもので、実際の検討期間や業界の標準日数ではありません。

相手は11月24日の利用開始を希望していますが、見積もりの範囲と、社内承認の日程がまだ確認できていない、という設定です。

希望日と確認予定を分ける商談計画:架空の記入例
残る仕事 計画へ記入する状態 自社が次に行うこと
利用範囲の確認 11月5日の面談で、対象の問い合わせと利用者を確認する予定 標準機能と追加確認の範囲を示す
接続・データの確認 11月9日を希望。確認担当者の参加は未定 必要な情報を整理し、担当者の参加を相談する
見積もりの提出 利用範囲が決まった後。提出期限は相手へ確認中 確定前提と未確定項目を分けて準備する
予算の承認 会議日と、必要資料は窓口が確認する 承認日を予測で埋めず、回答を待つ項目として残す
契約・購買の確認 並行できるかと、必要な手続きが未確認 自社の情報と契約案の確認先を整理する
利用開始 11月24日は相手の希望日。開始決定ではない 発注と必要情報がそろった後の準備を確認する

この表の役割は、開始日を約束することではなく、何が決まれば予定を更新できるかを見えるようにすることです。確認済みの予定、相手の希望、自社の仮置きの順序を、同じ確度として扱わないでください。

この例では、社内承認の日程が確認できなければ、利用開始までの全体期間を決め切れません。まず窓口から、承認に必要な資料と会議の予定を確認してもらいます。

遅れが出たら、次の回答予定と自社の準備を合わせる

予定がずれたときは、「まだですか」と催促する前に、何が未完了かを確かめます。自社の資料待ちなのか、相手の利用条件の確認待ちなのかで、動けることは違います。

確認のための質問は、例えば次の三点です。

  • 今、どの項目を確認しており、何があれば判断できますか。
  • 当社で先に準備できる情報や資料はありますか。
  • 次に状況を確認できる時期を、合わせられますか。

相手が回答日を決められない場合は、その日が決まる条件を聞きます。「事業部の担当者が参加できる時点で相談する」など、再開する条件を残す方法があります。

新しい要望が出て利用範囲が変わった場合は、見積もりと日程も更新します。前の範囲で用意した予定を、そのまま新しい仕事へ適用しないことが大切です。

一方、必要な資料を自社が出していないなら、相手の検討期間だけを問題にしないでください。自社側の提出日を決め、その後に相手が確認する予定を合わせます。

検討期間の見通しを、売上と人員の予定へ反映する

大企業への営業の検討期間は、初回の接点、具体的な購入検討、正式発注など、どこを始点・終点にするかで変わります。「平均で何か月」という数字を使う前に、今回自社が予測したいのは発注日か、利用開始か、入金日かを決めます。

売上の見通しに使うなら、残る承認や購買の仕事が分からない希望日を、確定した受注月へ入れないようにします。相手がいつまでに何を決めるかを把握し、未確認の条件が変われば予測も更新します。

企業むすびの見解:ベンチャーが管理すべきなのは、商談の経過日数だけでなく、待つために自社が使う資源です。相手の承認待ちの間に開発者を専用案件へ固定すると、受注していない仕事のために他の機会を失う場合があります。相手を急かすのではなく、予約できる対応範囲と再確認する条件を伝えます。

検討の状態を、人員と売上予測の扱いへ変える
把握できている状態 自社の予定への入れ方 相手へ相談すること
課題はあるが予算・発注条件が未定 探索中として扱い、専用要員は確定しない どの情報がそろえば購入を検討できるか
範囲・見積を協議し、承認予定を確認中 検討中として見通しを更新する 残る仕事、回答予定、開始の前提
発注条件が合い、正式手続が残る 社内の受注基準に沿い、未確定事項を残す 発注方法と時期、利用開始までの準備
予定が繰り返し延期され、次の判断が未定 当初月の受注前提を見直す 再開する条件と待つ間の対応範囲

これは受注確率を与える統計表ではなく、編集部の商談管理モデルです。会話の段階だけで契約の成立を判断せず、各社の契約・会計・営業管理のルールと実際の発注を確認します。

相手へは、「当社の対応要員を調整するため、発注に必要な確認と次の回答予定を教えていただけますか。開始時期が変わる場合は、対応可能な日程を改めてご提案します」と相談できます。無条件に人員を空け続ける約束をせず、相手の予定と自社の受入を合わせるための質問です。

予算時期が今回に合わないなら、標準デモや情報共有を続ける仕事と、有償の設定・開発へ進む仕事を分けます。相手の必要性がなくなったなら見送り、再開条件があるならその時点の連絡を相談します。一定の日数が過ぎたことだけで全商談を切る一律の期限は置きません。

過去の商談期間を使うなら、条件を比べる

自社に過去の受注記録がある場合は、似た案件の期間を参考にできます。ただし、会社名が同じだけで、今回も同じ日数と考えないでください。

前回は標準製品の継続利用、今回は新しい部署の個別開発なら、確認する範囲は変わります。利用範囲、既存の取引関係、データや接続の確認、予算を検討する時期が近いかを比べます。

過去の記録にも、初回面談から発注までの総日数だけでなく、何を待っていたかを残してください。自社の見積もり提出待ちと、相手の承認待ちを分けると、今回、先に準備するものを選ぶ材料になります。