本文へ進む
企業むすびベンチャーと大企業を、事業で結ぶ。無料登録はこちら

企業むすび コラム

大企業のどの部署に提案する?新規事業部と事業部の違い

どの部署に提案する?:窓口・事業部・予算の違い

大企業へ提案する部署は、今回、相手に何を決めてほしいかで選びます。新しい事業の可能性を探したいなら新規事業や協業の窓口、すでに使える製品の導入なら利用する事業部門が候補です。

ただし、最初に会う人が、予算や導入を決める人とは限りません。「担当者には好評なのに、その後の話が進まない」というときは、窓口の関心に加え、費用を出す部門と、成果を使う部門が見えているかを確認します。

創業間もないベンチャーにとって、提案先を誤ったまま資料修正や追加開発を続ける負担は大きくなります。この記事では、部署名を探すときの考え方と、初回面談で社内の進め方を聞く質問を整理します。

目次
  1. 最初の窓口と、事業を進める担当を分けて考える
  2. 新規事業部は、提案を社内のテーマへつなげる入り口になる
  3. 事業部には、使う場面と運用の負担を提案する
  4. 初回面談では、社内の進め方を四つの質問で聞く
  5. 提案先が分かったら、同じ説明を部門ごとに変える
  6. 提案先の部署についてよくある質問
  7. 次に行うこと:誰の、どの判断がまだ必要かを整理する

最初の窓口と、事業を進める担当を分けて考える

大企業の部署名や権限は、会社ごとに異なります。「新規事業部なら必ず予算がある」「事業部ならすぐ購入できる」と決めつけず、担当する仕事を確認します。

経済産業省は、スタートアップの製品・サービスの購入を通じた共創について、事業会社の体制や役割、進め方を整理したガイドラインを公表しています。契約書だけでなく、社内で誰が進めるかも検討の対象です。経済産業省、2025年4月30日公表資料

ベンチャー側から提案先を選ぶ際は、次の役割に分けると確認しやすくなります。この表は本記事の整理モデルで、すべての会社に同じ部署構成があるという意味ではありません。

社内の役割と面談で確認したいこと
確認する役割 候補になり得る部門 その人に聞きたいこと
新しい連携を探す 新規事業、事業開発、協業推進の窓口 今回の提案をどの領域で検討できるか
実際に使う・顧客へ届ける 商品、店舗、営業、サービス運営などの事業部門 どの仕事や顧客に使うか、受け入れる条件は何か
費用を用意する 新規事業部門、事業部門など、予算を持つ組織 何の予算で検討するか、申請に何が必要か
購入・契約の手続きを行う 購買、法務、情報システムなど 契約や利用開始の前に必要な確認は何か
出資を検討する 投資部門、企業の投資子会社など 投資の判断と事業連携の判断を誰が担うか

一人が複数の役割を担うことも、一つの役割に複数部門が関わることもあります。社内の承認者をすべて把握することを初回の目標にせず、次に必要な役割から確認してください。

新規事業部は、提案を社内のテーマへつなげる入り口になる

新規事業や協業の窓口は、既存の商品や業務に収まらない提案を相談する候補になります。自社の技術やサービスから、相手とどんな事業を考えられるかを話す場面です。

ここで確認するのは、その窓口が今回のテーマをどこまで進められるかです。情報収集をしているのか、共同検証を組めるのか、事業部門との調整を担うのかでは、次に依頼することが変わります。

たとえば、「紹介資料を社内で共有する」と「検証予算を申請する」は異なる仕事です。相手が資料を共有してくれる段階なら、先に開発を始めるより、共有先と、その部門が判断するための情報を聞きます。

ニーズがまだ明確でない探索段階でも、話し合うことはできます。その場合は完成した導入計画を押し付けず、相手の顧客、設備、販路と自社の提供内容を組み合わせ、試す候補を整理します。

ただし、探索の面談を、本番の導入や販売が決まった状態として扱わないようにしてください。自社がどこまで無償で検討できるかも、経営判断として区切ります。

事業部には、使う場面と運用の負担を提案する

導入先や顧客が具体的なら、その仕事を担う事業部門との話し合いが必要になります。機能の説明だけでなく、誰が使い、今の仕事がどう変わるかを示します。

NTTデータが2024年に公開した協業の説明でも、顧客や該当事業部のニーズを確認し、スタートアップの探索から事業の具体化へ進める考え方が示されています。窓口との出会いと、事業部の仕事へつなぐ工程は分けて考えられます。NTTデータ「戦略的オープンイノベーションが秘める、無限の可能性」

事業部に届ける資料には、次の項目を入れてください。

  • 対象になる顧客、店舗、現場、業務。
  • 現在の進め方と、変えたい部分。
  • 自社サービスが提供できる範囲と、できないこと。
  • 相手の担当者が行う仕事、必要なデータや環境。
  • 導入の可否を判断するために、先に試すこと。

現場担当が使いたいと思っても、データの持ち出しやシステム接続に別の確認が必要な場合があります。「事業部と会えたので開始できる」ではなく、開始までに必要な手続きを一緒に確認します。

その手続きが分かったら、資料を求められるたびに個別対応する前に、誰の何の判断に必要かを聞いてください。目的が分かると、必要な資料の範囲を合わせられます。

初回面談では、社内の進め方を四つの質問で聞く

相手の決裁権を直接問い詰める必要はありません。「次に何をそろえれば検討しやすいか」という聞き方なら、窓口との協力関係を保ちながら必要な情報を確認できます。

以下は、面談で使える質問のモデルです。相手の検討段階に合わせ、一度に答えを求めるのではなく、必要なものから尋ねます。

1. 「この提案を使うとしたら、どの部門の仕事になりますか?」

製品や技術への関心を、具体的な利用先へつなげる質問です。社内利用なのか、相手の顧客へ販売するのかも、この段階で分けます。

答えがまだない場合は、複数の用途を並べるより、今回最初に確認したい利用場面を一つ提案してください。相手が社内へ相談する先を選びやすくなります。

2. 「次回、その部門の方にも参加いただけますか?」

利用する部門が分かったら、次の話し合いへの参加を相談します。紹介を依頼する理由は、「具体的な運用条件を確認したい」など、今回の仕事に結び付けて伝えます。

参加が難しい場合は、窓口から何を確認してもらうかを決めます。自社から社内の別部門へ無断で連絡し、これまでの話をやり直す前に、窓口と相談してください。

3. 「検証を始めるには、何をそろえる必要がありますか?」

見積もり、契約、試験環境、社内承認など、開始の条件を尋ねます。予算が未定なら、検討に必要な作業範囲を先に確認します。

すべての社内手続きを把握できなくても構いません。次に必要な確認と、それを担当する人が分かれば、自社の準備を進められます。

4. 「検証の後、続けるかどうかは、どなたと判断しますか?」

試験の担当者と、その後の導入や販売を決める人が同じとは限りません。結果を誰へ届け、どんな条件を確認して次へ進むかを尋ねます。

まだ具体化できない場合は、事業化の判断へつながる検証になっているかを見直してください。「技術が動くことを示す」だけでなく、「誰が何を判断できるか」を確認します。

提案先が分かったら、同じ説明を部門ごとに変える

関わる部門が増えても、提案の目的を変える必要はありません。それぞれが判断したい点に合わせて、説明する順序と詳しさを変えます。

ホテル向けの多言語問い合わせ支援サービスを、ホテル事業を持つ大企業へ提案する架空例で考えます。以下は説明用のモデルで、実際の商談や支援実績ではありません。

新規事業の窓口へは、「宿泊前の顧客対応を支援し、将来は複数施設への展開を検討したい」と、組む理由を伝えます。最初の依頼は、宿泊予約や顧客対応を担う部門との面談です。

ホテル運営部門へは、スタッフが確認する問い合わせ、回答の承認方法、サービスに任せない対応を説明します。現場が追加で行う作業を含め、試す範囲を決めます。

情報システムや購買の担当が参加したら、データの扱い、接続方法、利用契約の範囲を整理します。これらの確認を、製品の価値そのものへの反対と捉えず、使い始めるための条件として扱います。

このように、窓口、利用部門、手続きの担当へつなぐときは、誰が何を判断するための面談かを明確にします。自社側でも、相手の部門、担当する確認、未決事項を一枚に残しておくと、面談の目的がぶれにくくなります。

提案先の部署についてよくある質問

新規事業部がない会社には、どこへ相談しますか?

提案に関係する事業部門や、公式に公開された協業窓口を調べます。適切な窓口が見つからない場合は、代表窓口へ、対象となる仕事と相談したい内容を短く伝えて確認できます。

投資部門に紹介されたら、製品の提案もできますか?

相談はできますが、その部門が導入や販売の判断を担うかは確認します。事業上の連携を進めたい場合は、関係する事業部門との話し合いを別途調整します。

相手が社内の決裁者を教えてくれない場合はどうしますか?

個人名を知ることより、次の判断に必要な条件を確認します。「今回の資料は、どのような検討に使う予定ですか」「追加で何を示せばよいですか」と尋ね、窓口と準備する仕事を合わせます。

次に行うこと:誰の、どの判断がまだ必要かを整理する

提案中の相手について、窓口、利用する部門、費用の確認先、開始の条件を書き出してください。空欄をすべて埋めるより、次の面談で確認すべき一つを決めると、相手へ具体的に相談できます。